「うちは家族仲がいいから大丈夫」
「財産が少ないから遺言書は必要ない」
このように考えている方は少なくありません。しかし、相続はご家族の状況によって思わぬトラブルに発展することがあります。
遺言書は、ご自身の意思を明確に残し、ご家族の負担や争いを減らすための大切な手段です。
今回は、特に遺言書の作成をおすすめしたいケースをご紹介します。
家族以外の大切な人へ財産を残したい
例えば、
長年介護をしてくれた長男の妻
内縁の配偶者
お世話になった友人
特定の団体や慈善団体
相続人ではない方へ財産を渡したい場合は、遺言書による「遺贈」が有効な方法です。
ただし、生前贈与や生命保険の受取人指定や家族信託など、目的によっては他の方法を活用できる場合もあります。ご自身の状況に応じて検討が必要です。
相続人同士の仲が悪い、または疎遠になっている
相続人同士の仲が悪い、遠方に住んでいる、長年連絡を取っていないなどの場合、遺産分割協議がまとまらず、相続手続きが長期化することがあります。
遺言書があれば、遺産の分け方をご本人の意思として示すことができるため、相続人の負担を軽減できる可能性があります。
個人事業主または会社経営者
事業用の財産は簡単に分けられないものが多くあります。
例えば、
- 店舗
- 工場
- 機械設備
- 株式
- 営業権
これらが分散すると、事業の継続に支障が生じることがあります。
後継者へ円滑に事業を引き継ぐためにも、遺言書で承継先を明確にしておくことが重要です。
結婚しているが子どもがいない
お子様がいない場合、配偶者だけでなく、ご自身の親や兄弟姉妹(またはその代襲相続人)が相続人になるケースがあります。
大切な配偶者の生活を守るためにも、遺言書の作成を検討するとよいでしょう。
前妻(前夫)との間に子どもがいる
現在の配偶者とのお子様だけでなく、前婚のお子様も法定相続人です。
前婚のお子様と現在のご家族との間に面識や交流がないケースも少なくありません。そのような場合、遺産分割協議に必要な連絡や話し合いに時間を要し、相続手続きが長期化することがあります。また、相続人にとって精神的・事務的な負担が大きくなることも考えられます。このような負担をできるだけ軽減するためにも、遺言書を作成しておくことは有効な方法の一つです。
遺言書を作成しておくことで、ご自身の意思を明確に示すことができるだけでなく、相続人による遺産分割協議の負担を軽減し、相続手続きを円滑に進められる可能性があります。
独身で子供がいない
独身だから遺言書は必要ないと思われる方もいますが、そのようなことはありません。
ご両親や兄弟姉妹が相続人となる場合や、「お世話になった人へ財産を残したい」と考えている場合には、遺言書が重要な役割を果たします。
また、ご親族が遠方に住んでいる場合などは、相続手続きの負担軽減にもつながります。
援助が必要な相続人がいる
相続人の中に認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力に不安のある方がいる場合、遺産分割協議を進めることが難しくなるケースがあります。
状況によっては成年後見制度の利用が必要となり、手続きに時間や費用がかかることもあります。
あらかじめ遺言書を作成しておくことで、相続手続きを円滑に進められる可能性があります。
相続人に行方不明者や生死不明の方がいる
相続人の中に行方不明や生死不明の方がいる場合、遺産分割協議を進めることが難しくなることがあります。
状況によっては、不在者財産管理人の選任や失踪宣告などの家庭裁判所での手続きが必要となり、相続手続きに時間や費用がかかる場合があります。
遺言書を作成しておくことで、ご自身の意思を明確に示すことができるだけでなく、相続人による遺産分割協議の負担を軽減し、相続手続きを円滑に進められる可能性があります。
遺言書を作成する際の注意点
遺言書は、ご自身の意思を相続に反映させるための有効な手段ですが、作成すれば必ず希望どおりの相続が実現できるとは限りません。
ご家族の状況によっては、法律で保障されている「遺留分」に配慮する必要があります。遺留分を侵害する内容となった場合には、相続開始後に遺留分侵害額請求の対象となる可能性があります。
そのため、遺言書は法律上のルールを踏まえながら内容を検討することが大切です。ご自身の希望をできる限り実現しつつ、ご家族間のトラブルを防ぐためにも、不安な場合は専門家に相談しながら作成することをおすすめします。
まとめ
遺言書は「財産が多い人だけが作るもの」ではありません。
ご家族の状況や財産の内容によっては、遺言書があることで相続手続きがスムーズになり、ご家族の負担やトラブルを防げる場合があります。
「自分の場合は遺言書が必要なのだろうか」と迷われたら、お気軽にご相談ください。

